mathichen独話【Hatena版】

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特権守るべく、尊厳を死守せよ





昨日FC2別館にペタリしたYouTube
これCD持ってたのに、どこへ消えたのやら




ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターを57年に渡って務め(65歳で定年となる現在ではこの記録が破られることはない)。

1881年から1938年までの長きにわたりウィーン宮廷歌劇場ウィーン・フィルの第1コンサートマスターとして君臨した。また弦楽四重奏団(ロゼ四重奏団)を組織し、1890年11月11日には、ブラームスの弦楽五重奏曲第2番を初演した。1902年3月11日(10日とする資料もある)にマーラーの妹・ユスティーネと結婚。1909年から1924年まではウィーン音楽アカデミーの教授も勤めた。

しかし、ナチの台頭とオーストリア併合はロゼの立場を一気に激変させた。オーストリア併合後、ロゼは直ちにコンサートマスターの地位を追われ国外追放処分を受け、ロンドンに逃れた。娘のアルマはゲシュタポに逮捕され、アウシュビッツで悲劇的な死を遂げた。ロゼはナチ第三帝国の崩壊をロンドンで見届け亡くなった。

Wikipedia:『アルノルト・ロゼ』より引用 )





アルマの死因は、食中毒死と推定されている
ビルケナウ女子音楽隊のファニア・フェヌロンは、アーリア系古株収容者による毒殺を主張していた
高齢を考慮して父親は娘の死を詳しく知らされなかったのが、せめてもの救い




父娘とも、欧州演奏旅行がかなり自由に認められていた
娘の方は、自分をドイツ人と考えており、他家とは宗教が違う程度しかユダヤ人意識持っていなかった
アルマの逮捕はどうやら、嫉妬の激しい音楽界からの密告によるらしく
また、条件付きではあるがビルケナウ出所、従軍して演奏せよの命令出されたを見ても
「わたしたち一族はユダヤ系ながら、ナチが温存を決めた少数民族なのよ」




特権階級といえば
劣悪な居住空間にある、畑に出たりする労働班、病棟などからは、食料の特配が噂されたくらい
寒くないよう、ストーヴが焚かれ、服もまァまァのものを着て、お湯のシャワーを毎日浴びるなど
居住空間には恵まれたビルケナウ女子音楽隊
食事に関する限り、ある意味、労働班より劣っていた
労働班はその気になれば、監視の目を盗み、畑の作物をコッソリ出来たのに対し
音楽隊は朝夕のマーチ演奏以外、屋外へ出て労働することがなく、畑に近づく機会すらなかったからである
指揮者アルマが親衛隊に頼みさえすれば、食事の改善は可能だったものの
音楽の出来不出来が世界を左右する、下手クソ食うなかれ主義のアルマには、無理な相談
まず、任務である音楽の質を守りなさい。食事増配などの話は、それから後の相談




ファニアは、性悪なアーリア系ポーランド女たちが大っ嫌いであった
抵抗運動といった反社会分子として捕まり、共産主義者でない限り、まずガス室行きの恐怖ないアーリア系
その中でも、何世紀にも渡る「悪いことは全て、ユダヤのせい」の伝統を刷り込まれたポーランド系は最悪
例外は、おとなしいハリナ、そして、ファニアが音楽隊入隊当所から親切なエーバ




エーバがある夜、「戦争が終わったら、パリへ行く。あなたは、クラクフヘ来てちょうだいね」
ポーランドにも、親切な人はたくさんいるを見て欲しいの」
エーバはその日、ファニアと同じく、性悪組ゾハの信じられない行為を見ていた
ゾハは家が収容所からさほど遠くないので、毎朝ミルクの差し入れに恵まれたが
ボウルに残った真っ白いミルクを、皆が喉から手が出るほど欲しい貴重品を、地面に流し捨てるなんて…
「どうやればナチを一番喜ばせ、ナチと同じよう残酷にやればを学習してしまえば
親衛隊は彼女たちを信用し、生命の保証されるからね」
ファニアがエーバに、若い娘が異常な環境に放り込まれたらどうなるか説明するも
「でも、わたしはポーランド人だから、ポーランドの将来を思わずにいられない
我々は生きて出られる確率はユダヤ系より高く、ここを出た後の彼女たち(性悪組)はどうなるの
一旦ああなった人は、結婚し、子供を作り、平和になったポーランドで、どう暮らすのかしら
彼女たちを動物のような人間にした責任は、わたしたちにもあると思うと辛いのよ
ここに入るまで、あんな荒んだ人たちがいるなんて、想像もしなかった…」
性悪組とて、戦争が起きなければ、田舎の喫茶店ウエイトレス程度に終わるが心安らかに送れた人生
ミロクという息子の母親である30歳、伯爵令嬢で夫も貴族、教育に恵まれたエーバにとって正視が辛いのね




エーバと同じ感情を、ファニアも味わったはず
同じ列車でビルケナウに到着、同じ日に入隊した、パリ娘クララ
20歳になったばかりの、両親と婚約者を無邪気に愛する、上流階級のお嬢様
逮捕されたストレスから、パリの監獄で差し入れ他を食べまくり、すっかり太ってしまい
その体型を維持するべく、ビルケナウでは、食べ物中心に支払ってくれる男どものお相手を始めた
クララ一人の身を削るで済む話であれば、ファニアも見守るしかなかったが
ビルケナウから移送されたベルゲン・ベルゼンにおいて、カポ(監督)の地位を与えられた結果
権力に有頂天、もう誰の言うことにも耳を傾けず
食欲以外の欲望まで晴らすべく、小さなミスしたフランス娘を気絶させるほどの暴力をふるう
一連を眺めていたファニア、「最後の一線を越えてしまった…」




このクララ、生還出来たものの、戦後に支払った代償は大きかった
カポ経験が裏目に出て、生存者連盟に入れてもらえない
結婚したが、赤ん坊はよだれかけを喉に詰まらせて窒息死した
夢に見ていた音楽界のでの大成もなく、TVプロデューサーとして短い活躍の後、世を去った




特権というのは良くも悪くも、責任を背負い、印形は首と釣り換えの覚悟なんだよ
カネのために公務員が人気職業というおサルな国には何回沈没しようが理解不能だろうけどさ