mathichen独話【Hatena版】

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清き気高き者こそ弱くも美しい

NHK-BSハイヴィジョンで昨秋のミラノ・スカラ座日本公演、ヴェルディの♪アイーダを観てました

TRIUMPHAL MARCH, FROM VERDI卒S "AIDA"

本場ミラノでの映像より、有名な『凱旋の場』

20年くらい前に東京ドームでやったスター歌手揃いのグランドオペラ形式公演では、本物のゾウさん登場
オペラ全体から見たら、華やかなのはこの場面だけなんですけどね
エチオピアに戦勝を喜び、一躍国の英雄と輝いたラダメスを称え、盛り上がるエジプト国民
王は褒美として一人娘のアムネリス王女を嫁にやる(ラダメスを婿にか?)と宣言
ラダメスに恋するアムネリスは「やった~☆」

ラダメス自身は憂鬱
王女の奴隷であるエチオピアアイーダに惹かれているから
苦境に置かれながらも高貴なたたずまいのあの娘、彼女の涙に比べたら、栄誉なんて何の価値も持たない…

第三幕、アイーダとの逢い引き中に軍事機密を漏らしてしまったのは、
実はエチオピア王女である彼女が父王と再会、復讐を誓う親父から無理矢理言いつけられたためでした
「言うこと聞かな、もう娘やない。なぁ、成功したら、お前と彼氏の仲も認め手助けしたるぞぉ」

アムネリスは?

F. Corelli & F. Cossotto "Duet Radame-Amneris Act 4" AIDA

この映像に登場するイタリアの名メゾ・ソプラノ、フィオレンツァ・コッソット曰く、
「アムネリスは、ワガママ姫だけど根は純情な、まだ18歳くらいの女の子
好きな彼に振り向いてもらえず、しかも彼は彼女の奴隷娘に…悔しい
彼は軍事機密漏洩の罪で死刑になってしまうかもしれない。助けなければ
『アタシの愛を受け入れてくれたら、国家反逆罪の減刑を法廷に請います。お願い、アイーダを忘れて!』
またも振られ、大人達にも減刑を拒絶され、すっかり人間不信に陥るの」

アムネリスは奥の深いというか幅の広さがある役なのですわ
30年くらい前、↑のYouTubeと同じハンブルク歌劇場での新演出上演では、
「アタシもアイーダのように褐色になれば、ラダメスは振り向いてくれるかも」と黒塗り化粧始めたそうな
これはさすがに不評。ただ演出家にアレコレ想像と創造させるだけの、魅力ある娘には違いありませんね

コッソットはYouTubeより2年後の1973年、NHK招聘のイタリア歌劇団公演でも同役を演じました
アイーダ役に予定されていた偉大な歌姫キャンセル、格下が代役というんで「アタシが主役よ」とばかりに、
実質的にアムネリス主役である第四幕では張り切るコトこの上無く、
とうとう音楽中断させ、拍手喝采を浴びておられました(1994年のBS放送での視聴より)
で、思いました
「コッソットが本当にアムネリスであれば…
地下牢に閉じ込められたラダメスの冥福を祈る場面、愛しの彼の横には憎き恋敵が寄り添いを知ったならば、
本当に岩をも動かす馬力で地下牢の入り口を塞ぐ重たいデカイ石をどけるやろな~(;一_一)